限定制につきましてはこちらをご覧ください

相続の知識

2012年1月29日 日曜日

非上場株式等についての贈与税の納税猶予

中小企業者等が現在のオーナー経営者から後継者へ事業を承継する際に最もネックとなるのが、株式を移転する際の税金です。生前贈与、相続、譲渡などいくつかの方法が考えられますが、いずれにしても会社の株式評価額が高ければ、多額の税金が伴うことになります。例えば、評価額1億円の会社の株式全株を一気に後継者へ贈与した場合、47,750千円(100,000千円×50%-2,250千円、暦年贈与の場合)もの税額が伴うことになり、大きな問題となります。今回はそれに対する一つの解決策として「非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度」を取り上げます。

「非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度」とは先代経営者から後継者へ中小企業者の株式を贈与し、それぞれ下記の一定要件を満たせば、通常課税される贈与税の納税を猶予する制度です。

~ 一定の要件 ~
1.後継者の要件
①会社の代表者であること
②先代経営者の親族であること
③20歳以上であること
④役員就任から3年以上経過していること
⑤後継者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超を有すること、かつ後継者がこれらの同族内で筆頭株主となること

2.先代経営者の要件
①会社の代表者であったこと
②贈与時までに役員を退任すること
③贈与の直前に先代経営者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超を有すること、かつ先代経営者が同族内で後継者を除き筆頭株主であったこと

3.会社の要件
①中小企業基本法の中小企業者であること。
②非上場企業であること
③資産管理会社に該当しないこと
④総収入金額がゼロ円を超えること
⑤常時使用従業員数が1人以上であること
⑥風俗営業会社でないこと

4.その他の要件・注意点
①経済産業大臣の確認及び認定を受けること
②猶予される贈与税額及び利子税に相当する担保を提供すること
③贈与税の確定申告書を期限内に提出すること
④この特例の適用を受けられる非上場株式の数は限定されていて、以下のうちいずれか少ない数となります
(a)先代経営者の贈与直前の所有株式数
(b)発行済株式総数×2/3-後継者が贈与の直前に保有する株式数

上記の要件を満たした場合には、次の贈与税額が猶予されます


~猶予される贈与税額~

1.特例適用対象株式のみ贈与した場合
その贈与税額全額
(例)特例適用対象株式100,000千円を贈与した場合の贈与税額
①100,000千円×50%-2,250千円=47,750千円(本来の贈与税額)
②100,000千円×50%-2,250千円=47,750千円(納税猶予額)
③①-②=0(納付税額)

2.その他の財産が含まれる場合
贈与税額のうち特例適用対象株式に係る税額分
(例)特例対象株式100,000千円、その他の財産50,000千円を贈与した場合の贈与税額
①(100,000千円+50,000千円)×50%-2,250千円=72,250千円(本来の贈与税額)
②100,000千円×50%-2,250千円=47,750千円(納税猶予額)
③①-②=24,500千円(納付税額)

この規定は、あくまで贈与税の納付が猶予される規定であり、後継者が受け取った株式の一部を譲渡した場合等の一定の要件に該当することとなった場合には、猶予されていた、贈与税額を納付しなければなりませんので注意が必要です。

投稿者 税理士 宮城 洋平